食と命の教室 稲わら納豆作り!

初年度最後の「食と命の教室」は、参加者の強いご希望もあり、「稲わら納豆作り」となりました

昨年、高柳家でご馳走になった「稲わら納豆」は、市販の納豆とはまるで別物

「本物とは、こんなに違うものなのか」と感嘆したものです。

江戸前寿司しかり、本場のウーロン茶やジャスミン茶しかり、普通に普及しているものとは「食べ物として別物」ということを体験してきたことがあっただけに、あのときは「豆がこんなに美味い納豆があるんだ」とびっくりしたものです。

そんな「稲わら納豆」が作れるとは、日本の伝統的な生活文化、技を知ることが出来る、なんとも貴重な場なんでしょう
主催者ながら、とってもワクワクして参加しました


さてさて、稲わら納豆作りの工程をざっくり紹介すると、以下のようになります。

◆大豆の準備
1:大豆を水に1晩漬ける
2:大豆を柔らかくなるまで煮る


◆わらづと(稲で作った納豆を入れる容器)の準備
1:わらをすく
2:わらを編む

この2つを準備して、わらづとに煮豆を入れるだけと、とっても簡単なんです

味噌作りもそうなんですが、昔からの伝統食品は作るのはシンプル。
あとはいかに1つ1つを丁寧にやるか、ということと、それぞれの家の環境で、同じ材料でも味がまるっきり違うってことですよね~。


さて、具体的に教室の風景を追いながら、見ていきましょう

まずは煮豆の準備です。

大豆は1晩水に漬けておきます。農村ではこれを「冷やす」と言います。
冬場なら大体12~15時間ぐらい、夏場なら10時間ぐらいだそうです。
浸水時間は、大豆がこれ以上水を含まない飽水時間だそうです。
水を吸うと大豆は2倍以上に膨れ上がります。

これをコトコト煮ていきます。
3時間ぐらいは煮ることになると思うので、水が飛んでしまいます。
そのため焦げないよう、途中途中で水を足しながら煮ていきます。


さて、次はわらづと作りです。

わらづと作りは、まずは稲わらをすくことから始まります。

わらをすく機具はどこの家にもあったそうですが、今はなくなってしまったため、小さな熊手のようなもので代用したり出来るのですが、なんと今回のために高柳さんがすく機具を作ってくれました

これがそれ。
鉄の歯を等間隔に並べて木材に打ち込んだものです。
鉄の薄い板をグラインダーで削って歯にしたそうですから、凄いですよね~


さて、一般的な本には、このわらを煮沸すると書いてあります。
納豆菌は熱に強いので、煮沸しても死なず、他の雑菌を殺菌するそうです。
農文協の本には、煮るとビショビショになるので、20分ぐらい蒸すやり方がお勧めと載っていました。

しかし、高柳家では煮沸せず、そのまま使います。

高柳さんの考えはこうです。

「納豆菌も元は自然界にある菌。そこからN-○菌とか決めて納豆菌と呼ぶようになった。
 糸が引くとか粘りがあるとか、そういうのが市場に出回る納豆。

 一方、今日の納豆は自然の菌の力を利用させてもらって作る。元は全部わら菌です。
 市場は選抜して引きが良いとか粘りがあるというようなものを納豆菌と言いますが、今日は本当の納豆です」

なので、雑菌も含め、それが「本当の稲わら納豆」という考え方なのでしょう。

味噌作りと同じで、稲わら納豆の作り方も家によって細かいところで千差万別だったはず。
高柳家は、わらも無農薬ですし、それを煮沸せず、ず~っと使って来たわけですね


さて、話を戻して、すいたわらをつかって、早速、わらづと作りです

まず、こうやって、稲わらをトントンすると、きれいに揃って良いようです。



次に、折ったわらに、2~3本ずつ交互に折り重ねるようにして1つ1つ編んでいきます。
これは実際にやってみないとわかりませんね
この間が広いと豆がこぼれてしまうので、ギュッときつく編んでいきます。


みんな、ワイワイガヤガヤ、教えあいながら集中しています


編み終わったら、もう片方をわらで結びます。


そして、ついに出来ました人生初のわらづとです


編みあがったら、はみ出している余分なわらを切り落とします。


そして、この出来上がったわらづとに、熱々の煮豆を入れます。
ちなみに高柳さんの豆は「小糸在来」。だから、煮豆が本当に美味しいんです
小糸在来って、普通に食べていたこともあったけど、こんなに美味しかったっけ?というほど美味しい
純粋に煮豆にするとわかるもんなんですね~


煮豆を入れたら、最後に真ん中をわらで結んで完成です


これを最後にビニールで包みます。
納豆は湿り気がある程度必要で、乾燥防止のためにこうするとよいだろう、ということで高柳さんが巻いてくれました。


あとはお持ち帰りして、お家で保温して、2~3日で完成とのことです。
楽しみ~

さて、納豆作りが終わった後は、みんなで、いつもの通りお母さんの美味しいご飯
その辺のマクロビのお店より、よっぽど美味しいんです
今回は、くるまふのから揚げ?がとっても美味しかった



昼食後は、少し時間があいたので、高柳さんが始めた「養蜂箱」を見にいきました。

知り合いでミツバチに詳しい方がいて、日本ミツバチを入れるために、年末から設置してくれたそうです。

西洋ミツバチは花を選んで蜜を集めるそうですが、日本ミツバチは色々な花の蜜を混合で集めるそうです。
だから色々な花の受粉を助けるし、ハチミツの味わいも色々混ざって栄養素も味も美味しいらしいです。

そして西洋ミツバチより日本ミツバチの方が、春の活動開始時期が早いそうなので、早めに巣箱を設置するそうです。
あとは、日本ミツバチが好きな密ロウを塗って、来るのを待つそうです。



さて、今回は今年度最後の教室でした。
地域の新規就農した3年目の若手農家さんもご家族で参加し、他にも新しい参加者がいて、にぎやかで楽しい時間でした

「糀を作ったり、納豆を作ったり、普通では出来ないことが出来て楽しかった」
「高柳さんから食べ物のことや環境のことなど色々お話を聞けて、とてもためになった」
「参加者のみなさんが色々知っていて、たくさんのお話が聞けてよかった」


など、みんなで交流しながら学べたことが、とても良かったようです

また主催者としては、高柳さんと話しているのですが「頭だけでなく、実際にやってみることが大切」という共通見解があります。

実際に、本では色々なことを「学んだ気」になりますが、体験を伴わない学びはあまり身にならないことが多いです。

だからこそ、田植えや土作りや油絞りなど、色々なことを「実践」することと「座学」をセットにしたのです。


そして、2月22日(土)からいよいよ2年目がスタートします
詳しくは→こちらから

昨年より、少し参加費を抑え、参加しやすくなりました
また、今回は、ソーラーシェアリングなど専門知識を持っている方も参加しますし、参加者がそれぞれ色々学んできたこと、知っていること、最近読んだ本などを参加者のみなさんからお話頂く時間も設定しながら、より多様な学びが深めればといいます。

2月22日(土)に開催される第1回に集まったみなさんで、1年間、どんな野菜を作るか?稲わら納豆などどんなプログラムにするのか?を話し合って決めていきたいと思います。

農村に残る生活文化、技を引き継げるのは時間の問題です。
高柳家は、珍しくまだ日本人が本来してきた生活を保っています。

高柳さんが良くいいますが「数千年の間受け継いできたものを、自分の代も受け継ぎ、それを次世代に受け継いでいく。そういった当たり前のことが出来なくなっている」ということ。

それは大変もったいないことです。

高柳家にご協力を頂きながら、それを少しでも自分の生活にとりいれ、次世代につむいでいく仲間を増やしたいな~と思います。

ということで、「食と命の教室」の2年目、募集中です

くわしくは→コチラから

是非、たくさんの方にお会いできること、楽しみにしています