食と命の教室 土のお話など

土曜日は、「食と命の教室」の第2回。

天気予報ではとても暖かくなると聞いたけど、朝はちょっと涼しい感じ

でも昼ぐらいにはとても暖かくなってきました。

さて、前回、参加者から一番ご要望を頂いた「土作り」について応えるべく、今回は「土の世界を知る」ことをテーマにした回。

午前中は、「根の国」というdvdを視聴しました。


この「根の国」は、人間には目に見えない土の中の世界を、光学顕微鏡で撮影し、その生命の営みを映像で映し出すという、とてもインパクトの強い内容です。

毎年、これを観た参加者は感銘を受けますし、私も毎年「凄いな~」と感銘を受けます。


土には肥料分として窒素・リン・カリがあり、それをバランスよく配合すると良い、といったのが広く知れ渡っていることです。

しかし、実際はそういった成分分析でどうこうできる次元ではないのが土です。

堆肥を1gとると、そこには1億もの微生物が住みついているんです

そして、その小さな土の塊にも、そこには生態系、食物連鎖があります。


植物の死骸、ミミズや昆虫などの糞尿や死骸は、それより小さなダニやゾウリムシなどの小さな虫たちのエサとなり、それらの死骸や糞尿がさらに小さなミリ以下の小動物のエサになり、さらにその死骸や糞尿が微生物のエサとなります。

そしてそれらの微生物の死骸や糞尿は、アミノ酸などたくさんの養分が含まれていて、それらを植物の根っこは吸収して育つんです。

根っこと微生物も共存共栄しています。

たとえば、根っこには1mm以下の根毛というのがあり、根毛は絶えず伸び、ちぎれ、死に、土中の微生物にエサを与えています。あるいは、根毛に寄生する微生物もいます。

一方で、微生物もその死骸や糞尿が根毛に吸収され、その栄養分は茎を通り葉や実にいきます。


そしてよく肥えた土は、あらゆる生物が住み着いていて、例えば1種類のセンチュウが増えて根っこを襲おうとしても、そのセンチュウをやっつけるカビなどが一気に群がってくるなどして、1つが爆発的に増えるということは、起きないのです。

バランスがとれているんです。


これらを全て映像で観ると、いわゆる「土は人間が作るもの」という概念がふっとび、「土は自然の賜物」ということが如実にわかってくるのです。


視聴したみなさん、真剣に学んでいましたよ


そしてお昼はいつものごとく、お母さんのとびきり美味しい料理です
ここに来ると、みんな「何でこんなに美味しいの~?」と口からもらすほど。
本当に美味しいんですよ~。



さてさて、午後は実際に畑で堆肥を見て、キャベツの苗を植えるところからです。

と、思ったら、おじさん達がミツバチ用の巣箱を持って現れました。

高柳さんは、食物の大方を自給しているのですが、砂糖はつくれないということで、昨年から日本ミツバチが来るよう専門家のおじさんに巣箱を置いてもらって、いろいろ手をうっていたのですが、入ってくれなかったのです。

今日は、もう1つ別の箱を置くために来たということで、突如、臨時出張「日本ミツバチ教室」が開催されました
これは以前、おじさん達のところで日本ミツバチが入っていた巣箱で、杉の木をバーナーで焼いて作ってあって、中には日本ミツバチの密ロウが縫ってあるそうです。

これで上手くいけばいいですね~。



さて、一段落したら、当初の予定の「堆肥」の見学へ。

高柳さんがいただいてきた「馬糞」の堆肥で、これは放置して半年ほどのもの。


臭いは全く無いのですが、まだ分解が甘いので、少し虫も飛んでいます。
でも、触っても全然大丈夫な感じです。


一方、こちらが3年間放置したもの。完全に分解されていて、写真では分かりにくいのですが、ほぼ土になっています。


堆肥は本来は屋根があるところで切り返しをして作った方が良いのですが、高柳さんはこのように屋外に放置して土になるのを待ってから使います。

「堆肥がよいか悪いかは、種を実際にまいてみて、発芽して植物として育つかを見るのが一番良いよ。下手に詮索するのではなく、種に聞いてみることだね」

おっしゃるとおりですね~。


さて、お次はキャベツの苗の植え付けです。

まず、高柳さんが業者に頼んで作ってもらった有機資材のペレットとカキ殻石灰を撒きます。
これはなかなか難しいんですよ。
小4の女の子から大人まで皆でやってもらいました。


そのあと、マルチを貼って、みんなで苗を植えます。


これが2ヶ月後に、みなさんのお土産になります


そして今の時期は必ず虫が来るので、防虫ネットを張ります。
まず、そのためにU字パイプで支柱を作ります。


そしてネットを被せて、風で飛ばないように鍬で端に土をもって完成です。



その後、前回蒔いたミニトマトとナスの種の発芽状態を見学に。
一部、発芽率が極端に悪いものがありました。
「誰のかな~?」とみんな、自分のではないような感じで見ていました


最後に、お土産に菜花、サニーレタスだけでなく、カブを抜いてよいということで、みんなでスポンスポン。


そこで、1人がそのままかじって食べ始めて「みずみずしくて美味しい~」と言ったのに反応し、結局全員で、その場でかじってみたら「やっぱり美味しい~

採れたては甘みとジューシーさと少しの辛味が混じって、無茶苦茶美味しいですよね~。



一通り農作業も終わり、最後にお話タイムに。

今回は「土の話」でしたので、そもそも化学肥料などを入れていない時代のお話をしてもらいました。

高柳さんの子供時代は、村はきれいだったと言います。

それは肥料の素材は自然からしかないから、川沿いや道路沿いの「公共の場」に生えている草は、みんなが競って刈っていたそうです。
朝4時に起きて刈りに行く人などもいて、みんな、あちこちの草に目をつけていたといいます。

また、肥料を作るために家畜を飼っていたという感じで、豚や牛がいて、そこに稲ワラをしいて、踏ませて堆肥にしていたそうです。

牛の世話は子供の仕事で、その当時は嫌だったけど、今思えば良い経験だったな~、と語ってくれました。

また、5月は「農繁期」で先生も子供たちも学校が休みになったそうです。

それが当たり前だった、ということです。

ところが、化学肥料や農薬が入り、暮らしの基の農が、「農業」になり、「効率的に」「大規模に」「単一作物で」といった掛け声が広がり、学校では農業について全く教えなくなったといいます。

高柳さんの疑問は「人間も含めて、生き物を食べないと死んでします。食べないといけない。だから漁業などもそうだが、農業もとても大切なこと。日本が減反政策が始まり、米を余剰に作っている農家が悪者だという報道が日夜されていた時代にフランスに行ったら、「フランスでは自給率は140%ぐらいある。だから国民は安心して生きていけるんだ」という返答が返ってきて「国によってここまで違うのか」とショックを受けたそうです。

そして、フランスやドイツなど、大体の国が、都市部の周りに畑が広がっている。つまり、町の住民の食べ物はその周りで取れるようになっている、そういった設計で町作りがされちていることを知ったそうです。

そして「GDPとかうんぬんは、経済学者が言うことで、市民にとっては、食べ物と家があれば生きていける」ということを、たくさんの人から聞いたそうです。

だから高柳さんは言います。

「日本は世界的に見ておかしい国なんです。食べ物が大切だとか、命はどこからくるのか、というのを教えない国なんです。それを日本人は知らないでしょ?」


毎回聞いているお話ですが、今回もとっても楽しくも深いお話でした。

ということで、10月までやっています。

来月も新しい人が参加しそうですし、ご関心がある方は、是非ホームページをご覧下さいね→こちら