食と命の教室 稲ワラ納豆作り&大根抜き

今年最後の「食と命の教室」

2月~11月まで10カ月にわたってやってきましたが、対に最終回です。
最後を飾るのは、大人気の「稲ワラ納豆作り」です

いつもの通り、お茶を飲みながら軽く話した後、稲ワラ納豆作りのスタートです。

これが高柳さんの稲ワラです。
そもそも無農薬でお米を作る人が少ない時代ですから、無農薬の稲ワラというだけで、貴重ですよね~


この稲ワラを使って「つと」という納豆の容器を作るのですが、その前に、わらを「すぐる」必要があります。

「すぐる」というのは、すいて余分な葉っぱの部分などを落として茎だけにすることです。
葉っぱなどが残っているとそこからカビが生えやすかったり、ゴミが出やすいんですね。
昨年は、カッタのような刃物を熊手のように差し込んだ道具を作ってくれて、それにひっかけてすぐったのですが、今回はなんと素手でそのまま5本指を突っ込み、軽く左右にゆすりながら広げて、そのまま何度も下にそぎ落とす感じでやりました。
なるほど、昔はこうやって素手でやっていたんですね~。


ちなみに、すぐったワラのかすで「ワラ布団」を作っていたそうです。
「ワラ布団はお日様の香りがして、本当に気持ちよかったんだよ」とのこと。

このすぐった稲ワラとは別に、編むための稲ワラを用意します。
すぐった稲ワラを水につけ、叩くのです。
こうすることで、曲がりやすくなり、乾いた稲ワラのように曲げると切れやすいのですが、それが切れにくくなるんですね。


さて、これで準備は出来ました

編むために用意した稲ワラを1本取り出し、半分に折ります。
その折り目に、先ほどのすぐった稲ワラを3~4本ぐらい挟み、順次編んでいくのです。

手元をクローズアップするとこんな感じ。


みんな真剣に作っています。


上手に出来るとこんな感じです。


1本目は雑になってしまいますが、2本目ぐらいから上手に出来るようになりました


編みあがった稲ワラは、まきすのように丸め、両端を稲ワラで結び、最後に、左右の余分なところを切り落として、つとの完成です。



さあ、ここに高柳家の小糸在来の煮豆を入れて、真ん中に仲人さんと呼ばれる稲ワラをつっこんで、最後に結べば完成です
あとは紙の米袋などに3~4本まとめて入れて、カーペットの上において毛布でくるんだり、コタツに突っ込んで3日間ぐらい待つと、納豆の臭いがしてくるんですよ
今年は上手に出来るか、楽しみです



さて、いつもの通り美味しいお昼ご飯を食べた後、午後は「大根の収穫」です。

大根といっても、高柳家は色々作っています。

普通の青首大根、昔ながらの三浦大根、たくあんようの大根、聖護院大根など様々。

特にみんなが普段育てない三浦大根を「好きなだけ」ということでみんなでひっこ抜きました。


見てください、この三浦大根の大きいこと


三浦大根は柔らかく、煮るとほろっと口の中で崩れ、ほのかな苦味などが通にはたまらない大根です。
ただ、割れやすいので流通が難しいというだけでなく、中太りなのでなかなか引っこ抜くのが大変なんですね。

実際にやってみたら、まあ抜けないこと
何本か頑張ってやりましたが、3本に1本は葉っぱの茎のところでブチっと切れてしまったり、途中で大根が折れてしまうんです
さらに抜くのに力がいるので、腰にくる。。。

これを1日何十本も抜くのは素人では難しいな、とつくづく思いました。

さて、こちらはたくあん用の大根です。
といっても、私が知っているたくあん大根の太さが2倍
長さも1,5~2倍と超大きい
高柳さんも「今年は暖冬で育ちすぎちゃっているんだよな」とのこと。


みんなで頑張って引っこ抜いた結果、見てください、軽トラに山盛りです
こんなにみんな持ち帰れるのかな?というぐらい引っこ抜きました


この大量の大根を持ち帰って山分けした後、高柳さんからの最後のお話。

「人が自然を忘れてしまい、人への優しさや天を敬う心などを無くしてきてしまっているからこそ、少しでも自然に触れながら、命がどこから来ているのか?食と命の関係、農と命の関係などを少しでも体験してもらおうと思い、1年間、田んぼや畑をやってきました」と熱いメッセージ。

そして、参加者1人1人からの感想。
みなさん、「1年間あっと言う間であった」「家庭菜園の参考になればと思ったけど、もっと深い学びをしてい」「子どものためにと思ったがいつの間にか自分がのめりこんでいた」「何でもお金で買う世の中だけど、お金ではない人間のつながりや自然との関係などに実際に触れることが出来た」「寒い2月から暑い夏を過ごし、また寒い季節と、1年を通して田畑作業をしてきて、自然の中で生きているということを体で感じることが出来た」など感慨深いコメントをいただけました


そして、今回は最終回ということで打ち上げ
夜の打ち上げは、豪華絢爛でした

東城百合子先生のお弟子さんで、料理教室を開いている方が、教室には用事があって参加できなかったのですが、この打ち上げのために夕方から食材とホットプレートを持って駆けつけてくれました

まず、生活クラブの食材を使ったタコ焼き。みんなで食べるには最高です


そして、長崎の牡蠣の養殖をしているいとこから直送してもらった生牡蠣セット


見てください、このぷりっぷりな牡蠣


今年は暖冬で小ぶりらしいのですが、生牡蠣や蒸し焼きにした牡蠣を10個以上食べたのは生まれて初めてでした
もう、最高でした~

そして、こちらは高柳さんが「そば打ちでもやっか?」といって、目の前で打ってくれたそばです


続いて、成田で古民家レストランの風楽というのをやっている方が、実はこの教室の参加者の奥さんでして、美味しい煮物や紫芋とフルーツの煮物など、大皿料理を差し入れして下さいました


そして、こちらはあの「奇跡のリンゴ」の木村さんのリンゴです
なんでも10年前に、木村さんの記事を見て感動した参加者の奥様が、木村さんに手紙を書き、それからのご縁で毎年購入しているそうです。
木村さんのリンゴはプレミアムですからね~。
私は木村さんのリンゴを食べるのはこれで2回目でしたが、美味しかったですよ


その他、寺田本家さんの「醍醐のしずく」や越川商店の「干物」など、様々な食材が並び、まあ本当に豪華で心の篭った食べ物ばかりでした。

私は翌日に出張もちつきの仕事があり、また翌日に仕事がある横須賀から来た参加者を駅まで送る必要もあったので、途中で退席させて頂きましたが、半分ぐらいの方がお泊りだったそうです。

1年間、やってきた教室ですが、最後はやっぱり感慨深いものがあります

子どものことを考えれば考えるほど、大人が勉強しなくてはいけない。

そういった大人が気楽学べる寺子屋のような場所でもあり、また、農や自然といった人間が作り出した社会の土台となる生活の営みに1年を通して体験すること。

1ヶ月に1回のわずかな体験ですが、1年を通してその体験を積み重ねることは、必ずその人の奥底に何かが残ると思っています。

そもそも、こういった教室に参加される方は、何かしらの問題意識を持って参加しています。

それを頭だけでなく、昔ながらの生き方をされている高柳さんという人、高柳家という家、そしてその生活に触れることが、何かしら新しい道を歩み時の力になっていくんだと思います。

ちょびっと寂しいですが、これで1年が終わり、また来年度も新しい出会いがあるはず。

頂いたご縁を深めながら、また来年の出会いも楽しみです。

農村の生活にあこがれている、日本人はどういった生き方をしていたのかに関心がある、有機農業に関心がある、社会の色々な問題を語り合う仲間が欲しい、純粋に自然の中で自分をほっとさせたい、などなど、そんな人がいましたら、是非、この「食と命の教室」にお越し下さい。

来年2月から新年度がスタートします。

きっと、良いご縁になると思いますよ