色んな人が来る「食と命の教室」

今年2回目の「食と命の教室」はあいにくの雨

ただ、今回も10人と多めの参加者で色々なお話を聞け、また新しい方も2人来て、私としては勉強になりました

 

まずは先月、ゴマ粒のような種を蒔いたミニトマトの鉢替えです。

 

こちらはナスですが、まだ双葉状態なので移植は出来ません。

ナスの種の方がミニトマトより大きく、したがって双葉も大きいのですが、生育は何故か遅め。

高柳さんに聞いたら「ナスは原産地がインドというから、高温でないと育たないんだろうな」とのこと。

なるほどです。

一方で種は小さくても原産地がアンデスで冷涼なところでもある程度は育つミニトマトは、本葉を沢山茂らせてちょうど鉢替え時です。

 

まず、その鉢替え用の土を先月と同様、ピートモスと鹿沼土を混ぜて作ります。

今回も2グループに分けて土を混ぜ混ぜ。

左のグループは素手で土を触りたがる人達が多く、右のグループは手袋をしている人達が多く、土に対する感性も人それぞれですね~。

そして出来上がった土をポットに入れたら、育った苗を移植します。

セルトレイで育った苗は、根っこを外にまで出しているほどなので、引っ張り上げると切れてしまいます。

なので、最初にセルトレイのお尻をぐいっとつまんで押し出すようにします。

するとこんな感じで抜けます。これをポットに鉢替えしていきます。

1時間ぐらいで1000鉢ほどの植え替えが出来ました。

これがおかげさま農場の今年の出荷分のミニトマトになるんですよ

来月にはいよいよハウスに移植です

さて、お昼はいつものように田舎料理で、野菜がほとんどですが、どれも美味しい~

そして午後は恒例の「根の国」の視聴です。

2月は「土の世界を知る」というのがテーマで、電子顕微鏡で土の世界を覗きます。

1gの土に1億の微生物がいると言われています。

それをマクロの目で見てみると、体長5mmのヒメムカデがいたり、体長1mmのダニがいたり、そういったものが堆肥を食べ、糞尿を出し、あるいは死骸となり、あるいはそういった小動物が肉食しあうために集まってきて沢山の生き物の世界が出来ます。

そして、そういった昆虫や小生物の死骸を食べるカビ、バクテリア、そういったものを食べるセンチュウなどの世界があります。

例えば、あるバクテリアが増えたらそれを食べるセンチュウが集まり、そのセンチュウが好きなバクテリアが集まる。

カビが増えたと思ったら、そのカビを食べるバクテリアが集まる。

ナレーションでは「バランスが取れた土の中では、ある者が絶対的支配者になることは無い」と言います。

まさに「調和」が、バランスが自然にとられるのです。

そして、植物の根毛が伸びていく様を映した映像には「美しかったです」という人もいるように、無数の根が土の中に伸びていきます。

その根の周りには、根圏菌という菌が住んでいるのですが、根は古くなった細胞を積極的に切り離してエサとして与え、根圏菌はそのエサを栄養に属食して排泄物や死骸となり、それをまた根が吸収するといった「共存」が行われています。

根の世界というのはまさに大宇宙で、自然界はどんな単位でも「生態系」「食物連鎖」が起きていると同時に「調和」がなされていくのです。

こういった世界を「根絶やし・根絶」にするのが農薬です。

今回参加した方の1人は慣行栽培、つまり、一般的な農薬や化学肥料を使うプロ農家さんでした。

元々はアパレルなどの会社員をしていたそうなのが、10年ぐらい前に就農したそうです。

大きな農家の農場管理者として日々働いているそうですが、「土壌消毒をやった日は体調が悪くなるんです。ここまでやる必要があるのか?と疑問に思い、有機を学びたくて」と参加したそうです。

また、どうしてこの教室を知ったのか聞いてみると、わざわざ、おかげさまの直売所に茨城から自分の食べるようの野菜を買いに来ているそうです。

その理由は「自分が食べるのは無農薬が良いと思って」とのこと

普段、農薬をたくさん使っているのを見ると、それを自分では食べたくならないようです。

昔、こういった農家は良くいたと聞きましたが、今もそうなんですね~。

そして「とても勉強になりました」と帰っていきました。

 

また、今回から参加した方は、5年前から原因不明のアレルギーが出てアナフラキシーショックが年に1度は出るという方でした。

あらゆる食べ物にアレルギーがあるようで、ただ、原因は不明。

大変ご苦労をされているのでしょうが、とても柔和な感じの方。

私も経験がありますが、自分の意志ではどうしようもなく体が動かない、あるいは調子が悪い状態になると、普通の生活さえ出来ないことに不甲斐なさ、つらさが募ります。

ただ、そういった自分の不調を外に吐き出して当たり散らすのか、あるいは、見つめていけるのか、どういった方向に出るのかはその人の本性次第なんだな~、と思えるような、落ち着いた方でした。

 

また、今回は久々に女子大生が参加していて、周りは30~60歳ぐらいの大人ばかりですから、あまり発言はしないのですが、「今の教育は」という議題が上がった時、ちょっと話を振ってみました。

というのも、高柳さんは70歳でその子供の世代は私と同じで「受験戦争時代」で、それが「今の学校教育」という発想になります。

参加している方々も、自分が学生だった頃の経験をもとに、今の世相を見ているわけですが、私は実際に、最近の小中の事を知り、また20代ぐらいの若い子の話を聞くと、むしろ学校は今の一般社会の中ではよっぽど頑張っていると思うし、一般の親の方がだらしないし、子ども達もよっぽど人生を考えている、と思う事が多いのです。

それで「今の学校教育は人間としてどう生きるかを教えない」という話で大人同士は盛り上がるのですが、私が学生だった頃は「良い大学→大きな会社」といったレールがまだあった時代ですが、今はそうではないということは学生はみんなわかっているし、その中で、あえて役人とか大会社を狙う子もいれば、最初から農を目指したり福祉を目指したりと、よっぽど私の学生時代より職業観や仕事観を持っている子もいると思ったので、学生の子に聞いてみたのです。

そうしたら、「レールに乗ろうと頑張る子ももちろんいます。私の場合は社会福祉を学んでいるからかもしれませんが、先生も決まった会社に入る事ばかり考えていては駄目という先生も結構います。まあどちらにしろ自分探しというか、どういった道が良いか悩んでいる子が多いと思いますが」というお話も聞けました。

こういった教室の良いところは、1つの鏡として農業を続けてきた高柳さんの話を聞きながら、それぞれの立場、経験、人生、考えをもった老若男女が、普段の生活圏では引かれてしまう真面目な話を語り合えることです。

そして、そういった人達に出会えて、ご縁を持ち、ほんの少しですが、それぞれの思いや本音や人生の葛藤の発露に触れる事が出来ること。

そして、主催者の私もとても勉強になります

来月の「食と命の教室」は4月18日。ミニトマトのハウスへの移植になります。

来月も楽しみです